今回はご一緒にお着物ライフを楽しみましょう!! その㉘
寒い日のよそおい」について2017年のブログ記事に加筆しながら紹介させていただきます。
『寒い日のよおそい』
着物をお召しになるときは
①お下着②長襦袢③着物④帯と、身体の中心は4枚~6枚くらい布が重なっています。これは素材の差、仕立て方の差こそあれ、着物を着る場合通年同じ状態です。
さむい季節はなるべく下着の素材をあたたかなものに交換すると、体感はだいぶ変わります。
肌着は肌に優しくチクチクせず、静電気も発生にくく、暖かい素材の良いものが毎年新しく発売されているようです。和装用洋装用にこだわらず快適なものを色々チャレンジしていただきたいと思います。
また、着物は体幹はたくさんの布に包まれて暖かいのですが、衿足(首)、手首、足元(足首)が風にされされることがあり、体温を奪ってしまうこともあります。
首元はファーやカシミヤ、シルクなどのショールで覆い、手首はアームカバー、ファーカフス等。足元は足袋の形をしたハイソックスやレッグウォーマーなどで部分的に防寒すると、暖かな電車の車内やデパートやホテルなどの室内でも部分的に温度調節出来ますので、とても便利です。
また、着物の上に羽織る「羽織もの」もいく通りか種類があります。
「羽織」
もともとは武士の戦いに出るときの陣羽織が由来と言われています。
洋服で言うとジャケットと同等ですので、室内でも脱ぐ必要がありません。
衿の後ろの部分は半分に外側に折り返して着用します。
羽織紐で帯上で留めるので、着物や帯、帯締め、帯飾りなどとトータルでコーディネートを楽しむことが出来るので、コーディネートに自信のある方にはお薦めです。
以前は色無地に紋付黒羽織を羽織ることで格を上げ、お子様の入学式、卒業式に着用されることが定番となった時代もあるようです。
私ごとになりますが、私の小学校の入学式の集合写真に写るお母さま方は黒羽織姿の方が沢山いらっしゃいました。
我が家には父と母の両方の実家から一枚ずつ、私たち姉妹の入学式、卒業式に母が着用して出席するようにプレゼントされた黒羽織が二枚ありました。以前はその位ポピュラーで大切な物と考えられていたのかもしれませんね。
また、時代によって流行の丈も変わってくるようです。
以前からお召しになっているものの長さが気になる方は、後ろ身頃で引き返している部分を出して、仕立てお直しで長さの調節をされてもよいでしょう。
羽織丈はいろいろあり、ここ数年は長めの丈の長羽織(身丈80センチ以上のもの)がはやっているそうです。それぞれの方のご身長やお好みにあったしっくりくる長さのものを見つけてみてください。
羽織の素材は、絵羽柄の染めの着物に合わせるものや、カジュアルなよおいに合わせる絞りや紬や、寒い時だけでなく暑い季節にも羽織る夏の透ける素材など様々あります。
最近では暖かな洋服地をご用意くだされば、羽織に仕立ててくれるお店もあるようです。
肩当て布でも個性を発揮できます。肩当て布は羽織の内側の裏地となる布です。
「裏勝りの文化」とも言われ、内に秘めた情熱を表すように、男性は地味な着物地でも中(裏物)は大胆に龍が描かれていたり、鷹が描かれているものもあります。
女性では華やかなエルメスのスカーフ等を羽織の中の肩あてに使用し、おしゃれを楽しむ方もいらっしゃるようです。
羽織紐もいろいろな種類があり、石やビーズで出来ているお洒落心をくすぐる物もたくさんあります。
「道中着」
名前の通り「道中行ったり来たりするときに着る物」という意味があったそうです。
お着物と同じ衿合わせになりますので、衿元の見た感じがすっきりとしています。
腰元で飾り紐で結んで留める形が多く、紐がアクセサリーのような役目もいたします。
帯回りが隠れますので、お着物初心者で着付けやコーディネートに自信がない方にも安心です。
こちらは柔らかものでも、紬などのカジュアルでも素材によりフォーマルでもカジュアルでもどちらでも着用可能です。
同じ衿の形でフルレングスで布に撥水加工をしてあるものが、雨コートとして良く利用されています。
「道行」
こちらは道行衿仕立ての、二部式のポリエステル雨コートの上着です。
道行衿という襟元を四角く額縁のように仕立てているものです。柔らかものによく着用します。
私自身は茶道の集まりに参加する時に、道行をよく着用しておりました。
胸元が右と左の身頃が重なっていて、何箇所かスナップで留めるので着くずれがしにくく、かつ胸元にちょっとしたポケットがあるものもあり、沢山の茶道具などの荷物を両手に持ちながら、切符(この響きがすでに懐かしいですが)をちょっと収納でき、とても便利だった記憶があります。
この形がお好きな方は、寒い時期だけでなく袷も、単衣も、薄物もこの形で仕立てられ、いつも外でお会いすると着用されている道行ファンの方もいらっしゃいます。
「着物コート」
カシミヤや、ウール、アルパカ配合のものなど様々な種類があります。
洋服のコートと同じ素材でできていますので、なんといっても暖かく、コクーンシルエットがはやっている時期でしたら、お洋服でお召しになってもよいと思います。
やはりカシミヤは暖かく、軽いのでこのタイプは一つだけ欲しい方にはお値段は高価になりますがカシミヤをお薦めします。
最近は暖かさ重視でダウンの着物コートや、皮の着物コートなどもあります。
「ショール」
大判のものですと衿足から帯下までしっかり覆えるので電車等でもさっと羽織れ、防寒だけでなく防汚にも一役かってくれます。大きさや素材の違いで通年使えるのでとても便利です。
歌舞伎鑑賞などでクロークが混雑しそうな時や、小さい劇場などのクロークがない場所でもさっとたためてかさばらず、ひざかけ変わりにもなるのでとても便利です。
羽織っただけでは落ちないように片手がふさがって荷物が持てなかったりしますので、コーディネートに合わせた大き目のブローチなどで前をとめるとおしゃれにもなり便利です。
その他にもお洋服のポンチョを着物と兼用される方や、洋装、和装兼用で使用出来る変わった形の単衣のコートなども毎年新しい形のものが発表されます。
羽織りものやショールにアームカバーなど色々組み合わせ、ご自分なりの暖かく素敵な冬の装いを楽しんでいだだけますと嬉しいです。
最後までお読みくださりありがとうございました。
***yukihanakai***
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数年前より様々な文献を調べたり、産地を訪れ自分なりに勉強をしていた時に作成したノートを基に記しておりますので、このブログの内容は諸説ある中の一つでありますことをご了承くださいませ。
最後までご覧いただきありがとうございました。