今回は「ご一緒にお着物ライフを楽しみましょうその㉙ 雨の日のよそおい」について紹介させていただきたいと思います。
『雨の日のよおそい』
お着物をお召しになりたい日に雨の予想があると、どのようにしたらよいか迷ってしまいますね。
多くのきものの素材の絹は水濡れに弱いので、なにより濡れないようにすることが大切になります。
「雨コート」
雨から着物を守る為、履き物までかかる長さに仕立てられたコートです。
絹に撥水加工した素材や、ポリエステルに撥水加工などをした反物からご自身の身長に合わせてお仕立てします。
S,M,Lサイズとサイズは決まっていますが、仕立て上がりの薄いポリエステル製で小さくたためるタイプのものもあります。
仕立て上がりでもおひとりひとりの身長に合わせやすい、上下別れている二部式のものもあります。
お着物をお召しになった上にそのまま羽織って頂いても良いですし、透けない素材のコートでしたら着物の足元を濡らさないように裾部分を帯の位置まで上げて紐やクリップで帯部分に固定してその上から雨コートを羽織るとお着物の裾が濡れる心配が軽減します。
(その場合はご移動の電車などでうっかり座ってしまうと、持ち上げたところに座りシワが入ってしまったりするので注意します。)
私は薄手の雨コートを雨が降っていない時に、汚れ防止の「ちりよけ」として着用することもあります。
「はきもの」
通常の草履は鼻緒をすげる部分の穴から雨水がしみてしまうこともあるので、できれば鼻緒の穴がないオールウエザータイプのお草履か、雨よけカバーのついている雨用草履をおすすめします。
また、お草履ごとビニール素材のものですっぽり覆うタイプのカバーもあります。
私自身は普段履いているオールウエザーのお草履に、取り外し持ち歩きが便利な「つまカバー」を使用しています。途中で雨が止んだ時などお出掛け先ではずせますし、持ち歩きにもかさばらないのでとても重宝しています。
カバーなどかけてもどうしてもどこかしら濡れてしまったりしますので、移動には雨草履を利用し、大切なお履き物はお出掛け先までお持ちいただき、履き替えていただくことも良いと思います。
最近お見掛けすることが少なくなりましたが、はねあがりが少ない下駄に防水の爪皮(つまがわ)をかけて履く、雨下駄スタイルも素敵です。
お好みのデザインの爪皮をつけることで雨のよそおいがとても印象的なおしゃれになります。
「足袋」
足元が濡れてしまうとお身体が冷えてしまいますので、雨の日には替え足袋をお持ちいただくこともよいでしょう。
外出先で足袋を履き替えるのが難しい場合は「撥水加工された足袋カバー」もおすすめです。
通常お履きになる足袋の上に重ねて履いておくと、足元が濡れずに快適に過ごせ、必要がなくなったらすぐ脱げて便利です。
「きもの」
絹素材のお着物は濡れることと、摩擦がとても苦手です。雨に濡れたシミはもちろんのこと、素材によっては濡れることで縮んでしまうこともあります。
雨の日は思い切って濡れても大丈夫なポリエステル素材のお着物や木綿のお着物にしてみるのもひとつの方法です。
私自身は雨でもお着物での外出は避けられないので「東レシルック」というポリエステル素材のお着物を着る機会が多いです。
余談ですが、十代の時に着ていた雨用のポリエステル着物は触り心地が「カリッ」とした感じで(^―^)、武士のかみしものように肩が「カリッ」と張っていてごわごわしていたのですが、最近のポリエステル素材は絹と見分けがつかないくらいしなやかでしっとり優しいさわり心地です。
絹よりすこしだけ静電気をよびますが、上手にご活用いただくと雨の日のお出掛けもご心配事が軽減されて楽しさが増すと思います。
今回は雨の日のよそおいについて紹介させていただきました。
雨の日も大切なお着物を濡らすことなく、楽しくお出掛けいただけますと嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
***yukihanakai***
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お着物の事は地域や諸々の条件で必ず答えが一つと言えないこともあります。
私自身が勉強したり、経験した中で得た一般的と思われる知識を記載させていただいておりますが、諸説ある中の一つの意見とお考えいただけますと幸いです。