福岡県博多を中心に生産される帯です。
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細い7000本から8000本もの経糸を密にして、太い横糸を強く打ちこみ、細いうねを作る「経畝織」と呼ばれる特徴的な織り方です。
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江戸時代に福岡の黒田藩が毎年三月に、帯地十筋と生絹三疋を幕府に献上していたため、この「献上帯」という名がついたそうです。
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仏具の独鈷、花皿の文様を経糸で織りだす文様を「献上独鈷文様」と言います。
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独鈷杵と花皿の実物を拝見したことがあるのですが、なぜそれがこの文様の名前なのかしら?と思ってしまったくらい、模様そのものの型ではありませんでした。
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博多織の織元さんに伺ったところ、独鈷を砂の上で転がして出来た縦の列の文様と、花皿を意匠化して縦に並べて縞文様につくったそうです。
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独鈷を一列だけ転がした文様の物を「一本独鈷(いっぽんどっこ)」三列のものを「三本独鈷」と言うそうです。
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博多織の歴史は古く、鎌倉時代に宋の国に渡った満田弥三右衛門(みつだやざえもん)が広東織を取り入れ、天平年間に帯として用いられるようになったそうです。
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博多織の帯は締めるときに「きゅっ」や「しゅっ」っと言う、心地良い絹なりの音がして締め心地が良いため、ファンの方も多いようです。
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現在では独鈷と花皿の「縞献上」だけでなく、複雑な文様を織りだした「紋博多」や盛夏につかわれる紗地の「紗献上」があります。
もともと博多献上帯は通年使用してかまわない便利な帯ですが、20年~30年くらい前から盛夏用の「紗献上」が売り出されました。しゃりっとした博多織の風合いは残し、見た目にも涼やかな透ける織り方の紗献上は近年とても人気があります。
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夏の絹ものに合わせるのは勿論、麻の小千谷縮や、絹紅梅の夏着物、綿絽などの浴衣に合わせても装う方も涼しく、周りの方にも涼をおすそ分けできる素敵な装いになります。
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新たに雪花会にご参加くださることになりましたT様の最初のお稽古は、ご自分で縫われた小千谷縮の素敵な夏着物に紗献上の帯で行いました。
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まだ一度目のお稽古ですが、帯の締め心地もよさそうで、お太鼓の形がとてもとても綺麗に決まりました。
今夏はこの装いで自信をもって色々な場所にお出掛けしていただき、周りの方にも涼やかさをおすそ分けしていただけたら嬉しいです。
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最後までお読みくださり、ありがとうございました。
***yukihanakai***
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数年前より様々な文献を調べたり、産地を訪れ自分なりに勉強をしていた時に作成したノートを基に記しておりますので、このブログの内容は諸説ある中の一つでありますことをご了承くださいませ。
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