今回は「ご一緒にお着物ライフを楽しみましょう!!その⑥  お着物や帯の季節の考え方」について紹介させていただきます。
『お着物や帯の季節の考え方』
お着物には季節があって...というとお着物ライフを始められた方にとっては「どの時期に何を着たら良いのか...」とても高いハードルのように思われます。
私自身も20代で一人で着物を着なくてはならなくなってしまった時、季節的や場所的、シチュエーション的にどのお着物を着てよいのか全く理解しておらず、途方に暮れて毎回実家の母に確認していました。
自分で着物の勉強するようになり、入り口は難しいように見えても少しのポイントをおさえるとよいとわかりましたので、今回はなるべく簡潔に「考え方について」説明させていただこうと思います。
大まかに分けると3種類です。洋服に置き換えて考えるとわかりやすくシンプルかもしれません。
① 寒い時期の着物(袷・あわせ )                   
お洋服だとジャケットやカーディガン、コートなど重ね着する時期   
・ 
② 暑い時期の着物(薄物・うすもの)          
お洋服だとノースリーブやTシャツくらいの超薄着の時期   
・     
③ 過ごしやすい時期の着物(単衣・ひとえ)   
お洋服だとコットンシャツやブラウス一枚くらいの時期       
・    
これに着用月を記すと
① 寒い時期の着物(袷・あわせ)                        
        1月 , 2月 , 3月 , 4月 , 5月 , 10月 , 11月 , 12月   
・      
② 暑い時期の着物(薄物・うすもの)                
        7月 , 8月       
・                                                            
③ 過ごしやすい時期の着物(単衣・ひとえ)     
        6月 , 9月                                                                      となります。
各々着用する着物の種類は
① 寒い時期の着物(袷・あわせ)                
裏布のついている袷の着物 塩瀬(しおぜ)や縮緬生地(ちりめん)の半衿、縮緬やしぼり、綸子(りんず)生地の帯揚げをあわせます。
② 暑い時期の着物(薄物・うすもの)          
単衣仕立ての透けて見えるような薄い生地のお着物(薄物・うすもの) 絽(ろ)の半衿、絽や紗(しゃ)などの薄く透ける素材の帯揚げをあわせます。絽(ろ)や紗(しゃ)や羅(ら)などの夏用の帯を使用します。
③ 過ごしやすい時期の着物(単衣・ひとえ
裏のついていない単衣着物 絽や絽縮緬、楊柳(ようりゅう)の半衿、絽や絽縮緬、楊柳の帯揚げをあわせます。単衣専用の帯は基本的にはないので色合いや柄、厚みなど着物の雰囲気にあったものを選びましょう。

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わかりやすく月別に記載してみましょう。
  きものの種類  半衿の素材  帯揚げの素材   帯の種類  長襦袢 
1月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用 
2月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用
3月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用
4月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用
5月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用
6月 単衣(ひとえ) 楊柳・絽ちりめん 楊柳・絽ちりめん等 雰囲気にあった帯・単衣用
7月 薄物(うすもの) 絽・紗・麻    絽・紗・麻等    絽・紗・麻  絽・紗・麻
8月 薄物(うすもの) 絽・紗・麻    絽・紗・麻等    絽・紗・麻  絽・紗・麻
9月 単衣(ひとえ) 楊柳・絽縮緬   楊柳・絽ちりめん等 雰囲気にあった帯・単衣用
10月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用
11月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用
12月 袷(あわせ)  塩瀬・ちりめん  綸子・ちりめん等    袷用帯     袷用
更衣の決まりとして上記のように定められていますが、国土の緯度経度の幅の広い日本では場所により気温や湿度に差があり、体感もだいぶ差があります。
私自身は決まりより、快適さやご体調をなにより優先していただきたいと思っています。
フォーマルな場や、ご招待を受けた場面にお出掛けの際は主催の方、ご一緒に伺う方と相談されて「決まりをご理解した上で調整して」臨機応変にお着物ライフを楽しんでいただきたいと思います。
ここからは衣替えの歴史を紐解いていきましょう。
「衣替え」は「更衣」とも呼び、四季の変化のある日本では平安時代のころよりあったようです。
平安時代 宮中行事から始まった習慣で4月1日から夏装束10月1日から冬装束でした
鎌倉時代 衣裳だけでなく家具調度品も季節により取り替えるように
江戸時代
 4月1日  から  5月4日     袷(あわせ)
5月5日  から  8月31日   帷子(かたびら)麻の単衣のきもの
9月1日  から  9月8日        袷(あわせ)
9月9日  から  3月31日     綿入れ小袖(わたいれこそで)全体に綿が入っていて丹前のうすいようなもの
明治時代 明治6年(1873年)から
太陽暦(新暦)が採用され
 6月1日 から 9月30日  夏
10月1日 から 5月31日 冬
    と、なりました。
現在の衣替えの決まりになったのは明治新政府が軍や警察、郵便局、鉄道を創設した折に公的職業の軍服や制服の衣替えの時期の合わせて制定したとも言われています。
私たちの生活の中で一番身近な衣替えは学校の制服の衣替えだと思います。
気候にもより、どちらの学校でも何週間かどちらでも良い移行時期が設けられています。
お着物もきっちりこの日からこの日はこれじゃなきゃ!!!と気負わず、天候やご体調に合わせてお召しになるものを選んでいただければと思います。
ただフォーマルな場や、ご招待された場にお出掛けされるときは従来のきまりに従うか、主催のかたにお伺いいただくと間違いがなく、礼を失したり、居心地の悪さを感じたりすることがないでしょう。
今回はお着物の季節の考え方について紹介いたしました。
簡潔に説明をする予定でしたが、説明したいことが多くなってしまい色々記載してしまいました
季節のうつろいを楽しめるのが日本の良いところなので、お着物の季節も難しくお考えにならず、楽しんでいただけましたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
                                                                                   ***yukihanakai***
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お着物の事は地域や諸々の条件で必ず答えが一つと言えないこともあります。
私自身が勉強したり、経験した中で得た一般的と思われる知識を記載させていただいておりますが、諸説ある中の一つの意見とお考えいただけますと幸いです。

投稿者 yukihanakai