前回、お着物と帯の季節の考え方について記載させていただきました。
今回は「ご一緒にお着物ライフを楽しみましょうその⑦ お着物と帯、どの季節に実際にどのようなものを着たらよい??」について紹介させていただきます。
『お着物と帯の、どの季節にどのようなものを着たら??』
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袷のお着物(10月から5月)
透けない生地に胴裏(どううら)という裏地をつけて仕立てたお着物です。
八掛(はっかけ)とよばれる袖口、裾部分、衿先につける裏地で印象的になり、柄などに凝ることでおしゃれの幅がひろがります。
色無地や礼装用の着物は「共八掛」といって表地と同色や同柄のものをつけたり、同色のぼかしをつけます。
例外として、季節を問わず単衣仕立てにするウールのお着物や木綿のお着物は、袷の時期も着ることができます。
着物   袷着物 単衣仕立てのウール、木綿など    
半衿   塩瀬(しおぜ)、縮緬(ちりめん)など    
帯揚げ  縮緬(ちりめん)、綸子(りんず)など    
帯    袷帯、博多帯、綴れ帯、紬八寸帯、自然布帯など
10月から立冬まで着る袷を 秋袷(あきあわせ)と呼び、樹木が色づきはじめる愁色の風情を漂わせる秋に相応しい色や柄の着物を着ます。
立冬から12月くらいまで着る袷を 冬袷(ふゆあわせ)と呼び、冬の風情に合わせた色や柄の物を着ます。
1月から2月に着る袷を 梅袷(うめあわせ)と呼びます。旧暦の1月は梅の花が咲きますのでこの頃に着る袷をこう呼びます。
3月から5月に着る袷を 春袷(はるあわせ)と呼びます。樹木が芽吹き、花咲く陽気な季節に着る袷をこう呼びます。
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単衣(ひとえ)の着物(6月・9月)
胴裏と八掛をつけず、一枚で仕立てる着物です。
腰の後ろの部分だけ「居敷当て(いしきあて)」という生地をつけて布の強度を高める仕立てかたもあります。
袷の着物と基本的に素材は一緒なので手持ちの袷のお着物の裏地をはずして仕立て直しをすると単衣の着物として着る事が出来ます。
薄いオーガンジーのような布が二枚重なっている「紗袷(しゃあわせ)」という着物と「絽縮緬(ろちりめん)」はこの時期に着ます。
着物   単衣仕立ての着物、紗袷(しゃあわせ)絽縮など         
半衿     楊柳(ようりゅう)絽縮緬(ろちりめん)絽塩瀬(ろしおぜ)  
帯揚げ  楊柳(ようりゅう)、絽縮緬(ろちりめん)など        
帯    絽(ろ)絽つづれ、紗(しゃ)、紗献上(しゃけんじょう  )  
     紗紬(しゃつむぎ)、生紬(なまつむぎ)、絽塩瀬(ろしおぜ
     絽縮緬(ろちりめん)八寸帯 など                   
長襦袢      絽(ろ)、紗(しゃ)、麻 など 
               
6月に着る単衣を「春単(はるひとえ)」と言い春袷(はるあわせ)の色柄のものを単仕立てにして着るのがふさわしいと言われています。
紗袷(しゃあわせ)は6月に着ます。
9月に着る単衣を「秋単(あきひとえ)」と言い秋袷(あきあわせ)の着物を単衣仕立てにして着ます。
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薄物(うすもの)(7月・8月)
盛夏の薄物はフオーマルは絽(ろ)や紗(しゃ)、カジュアルは縮(ちぢみ)や麻素材になります。
薄物でも礼装用は染の着物、カジュアル用は織の着物です。
着物   絽(ろ)、紗(しゃ)、透ける織物、麻 など  
半衿   絽塩瀬(ろしおぜ)、麻 など         
帯揚げ  絽(ろ)、紗(しゃ)、絽縮緬(ろちりめん)など
帯    絽(ろ)、絽つづれ、紗、生紬(なまつむぎ)  
     麻、絽塩瀬(ろしおぜ)、羅(ら)など     
長襦袢  絽(ろ)、紗(しゃ)、麻 など        
夏帯の格は   染めのものより織のもの 
        名古屋帯より袋帯
        紗より絽
        金銀が少なめより金銀が多めがよりフォーマルと言われています。
        金銀を使っていない絽つづれはカジュアル用です。 
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最近では地球温暖化の影響もあり、季節の決まりを知ったうえであれば天候や行き先により臨機応変に5月や6月でも暑い日であれば単衣や薄物を着てもよいと言われています。
また季節の先取りは新たな季節を待ち望む気持ちをあらわしているともいわれます。
ただし、これは普段着などの場合ですので礼装はルールにしたがうのが正式といわれますので、お招きくださる方、ご一緒してくださる方に事前に相談されることが失敗がなく気持ちよくお出掛けできると思います。
「今回はお着物と帯、どの季節に実際にどのようなものを着る??」という内容を記させていただきました。
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基本的な決まりを月別に沢山記載させていただきましたが、なにより気温や体調などご自身の快適さ、楽しさを第一にお考えいただき四季のある日本の季節ならではの装いを楽しんでいただけると嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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お着物の事は地域や諸々の条件で必ず答えが一つと言えないこともあります。
私自身が勉強したり、経験した中で得た一般的と思われる知識を記載させていただいておりますが、諸説ある中の一つの意見とお考えいただけますと幸いです。

投稿者 yukihanakai